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有名人、アスリートが実践するファスティングとは?

フードロスが社会的な問題になっている。日本が年間に廃棄する食品は2年間2,550万トン(食糧庁調べ)。うち、食べられるのに捨てられている食品が612万トンと言われている。フードロスとはこの612万トン。この数字は、世界の食糧援助量の1.6倍にのぼる。

日本中でダイエットが流行っているのに、これだけ食品ロスがあるのは、違和感を通り越して、胸が痛む人も少なくないのではないだろうか。

日本人の男性の3割が肥満とされ、女性はだいたい2割程度が肥満であり、この数字はこの10年ほとんど変わらない。数字だけ見ると男性のほうがカロリー過多、つまり食べすぎる人が多いということにもなりそうだが、一方、食べ残しということで言えば、男性より女性の率が高い(しらべえ調査<2018・1月>)。

いずれにしても自分に合った適切なバランスのとれた食事量を心がけることが大事だ。

でもそもそも適切な食事量とはどのくらいなのか。もともと日本人は、江戸時代まで1日2食で過ごしていた。歴史を遡ると狩猟時代の人類は、ある程度の飢餓状態が続いても生き延びられるような遺伝子(サーチュイン遺伝子)が組み込まれている。

飢餓状態になると細胞が活性化し、体を若返えらせてくれることがわかっている。

こうした医学的な検証もあって、近年注目を集めているのが「ファスティング」。

ファスティングとは断食や絶食を表す英語のこと。断食というと、修行僧が山に篭って行うようなイメージがあるが、ここでは何日も一切口にしないものではなく、食事の回数を減らしたり、1回の量を減らしたりして、摂取するカロリーを減らしていくような行為を含めている。

食事の量を減らしたり、食べ物の種類を制限したりすることはダイエットでもあるが、ダイエットは痩せることが目的で、その結果として「体の調子がよくなった」「健康が得られた」というような、どちらかと言えば健康が「従」の関係だ。しかしファスティングは、健康や体調管理そのものが一番の目的であることが最大の違いだ。

だから食事を1日1食だけで済ます、あるいは半日断食するのもファスティングだし、水だけ断食を1ヵ月続けているというのもファスティングだ。

昨今ファスティングが話題になっているのは、やはり有名人が実践して結果を残しているからだ。

ギネス記録司会者、
タモリを支えた「1日1食」

たとえばマルチタレントのタモリさんは1日1食をデビュー以来ずっと続けているそうだ。タモリさんは、単独司会の記録として8054回のギネスブック記録保持者だが、その間、休んだのはわずか12日。体調不良で休んだことは1度もないと言っている。また「夜8時を過ぎると一切食べない」など、その節制ぶりは徹底している。タモリさんのライフスタイルを見習って、芸能界にファスティングが広まったとさえ言われている。

「 笑っていいとも!」で共演をしてきたタレントの中居正広さんは、フジテレビの「27時間テレビ」という特別番組で、タモリさんについて「一回も食べなかった」と証言している。さらにタモリさんは共演者に「1週間に1回、日曜日は24時間食べない」と発言して、周囲を驚かせている。

実は芸能界で1日1食を実践している人はかなりいる。たとえば同世代のビートたけしさんも1日1食派だ。食事は夜取るようで、朝は野菜ジュースだけだと公言している。そのほか刑事ドラマ「相棒」で人気を博している俳優の水谷豊さんも1日1食で通しているし、長寿のインタビュー番組「徹子の部屋」で、変わらないテンポでしゃべり続ける黒柳徹子さんもそうだ。

女性に人気の歌手の福山雅治さんも1日1食。ほかにもGACKTさん、京本政樹さん、美川憲一さんなど、調べてみるとかなりの方々がファスティングを実践している。

白鵬もファスティング指導で体調管理

芸能人だけではない。肉体を酷使するアスリートもファスティングを実践している。筋力をつけるために良質の肉をたくさん食べるイメージがあるが、たとえば陸上の110mハードルで日本記録保持者の為末大さんはファスティングの実践者で、年に1回、1〜3日絶食をしている。またプロ野球の読売ジャイアンツは球団ごとファスティングの指導を受けているという。

驚くべきは、巨漢がひしめく相撲界でもファスティングが取り入れられているということだ。平成の大横綱、白鵬もファスティングの実践者だ。ファスティングを実践していくと、体調をいい状態で維持できるようになる。そういった効果もあって白鵬はケガも少なく、ケガをしても治りが早いと言われている。

経済界でもファスティングの実践者は少なくない。独特の高い声でテレビショッピング界をリードしてきた「ジャパネットたかた」の高田明社長。引退後もサッカーJ2のV・ファーレン長崎の社長となって活躍しているが、見た目はまだまだ若く、とても70代には見えない。高田さんも1日1食を実践している一人だ。

経営に苦しむ旅館などを次々と再生して、星野マジックといわれる独自の経営手法で知られる「星野リゾート」の社長の星野佳路さんも、1日1食派だ。

海外に目を転じるとマイクロソフトの創業者のビル・ゲイツさんも超小食派で知られる。またビル・ゲイツさんはショートスリーパーでも知られる。これは少食派の証拠でもある(理由は後述)。またバラク・オバマ前大統領も超小食だった。

1日3食自体が間違い

それほど多くの人々を魅了し、実践者がいるということはいかにファスティングが効果的かということだ。

そもそも論で言えば、現代人は栄養過多であり、食べ過ぎであることは、多くの専門家が指摘している。

1日3食をやめなさい!」の著者で医師の内海聡さんは、1日3食は食べ過ぎで、それが病気を招くと警告している。現代人は1日3食を食べないと生きていけないという洗脳をずっとされていたために、それが常識となってしまったのが実際のようだ。

内海さんは、「普通に食べてもカロリーオーバー。これがいまの日本の現実です」(「1日3食をやめなさい!」)と言い切る。深刻なのは、カロリーオーバーだけでなく、一方で栄養不足となっていることだ。「カロリー的には『食べ過ぎ』でありながら、栄養が足りていないのです。現代では、日本を含む先進国の人こそ『重大な栄養失調』にかかっているとさえ考えられます。これを隠れ栄養失調と呼びます」(同書)

つまり栄養が足りないと感じてしまうから、またたくさん食べてしまう。そういう悪循環に陥ってしまっているのが多くの現代人なのだ。

たくさん食べれば健康になるというのは、現代の幻想だともいう内海さん。ではなぜそもそも現代人はこれほど食べるようになってしまったのだろう。

その理由とされているのが、19世紀に近代栄養学の父と言われるドイツのカール・フォン・フォイトが唱えたカロリー理論、そして肉食礼賛だ。

餓死は栄養がなくなって死ぬより、
脳がパニックを起こした「パニック死」

フォイトは、人間が1日に必要なカロリー量を酸化エネルギーに求め、口から食べた食物が体内で酸素と結合して、その熱エネルギーが生命活動を維持すると捉え、必要な熱量を算出した。

この時算出した方法が、食品を釜で燃やす方法だった。しかし人間の生命活動には、こうした酸化エネルギーのほか、解糖エネルギー(糖分分解)、核エネルギー(生体内元素転換)、太陽エネルギーなどの系があり、酸化エネルギーだけで維持されているのではないと言われている。

実際にカロリーを減らすと長寿遺伝子が活性化し、長寿になるということが証明されている。少なくとも日本の栄養界はこの理論にこだわっており、その限りにおいて、ファスティングの実際と向き合えない状況になっている。

フォイトはまた、「良い栄養に摂り過ぎることはない」とし、とくに肉食を薦めた。しかし後にフォイトには食肉業界がパトロンとしてついていたことがわかっており、この考えが偏っていることが指摘されている。その思想を取り入れたのが近代化を急ぐ日本だったのだ。確かに飢饉に苦しんだ時代があったため、こうした考えは当時の日本で受け入れやすかったと思われる。

食べなければ飢えるというのは、歴史の事実だが、こうした長寿遺伝子の研究や脳科学の研究からすると、食べなければ死んでしまう、ということに支配された脳が、餓死を引き起こしたとも考えられる。

『やってみました!1日1食!!』や『できる男は超小食』などの著者で、自らも1日1食の実践者であるフリージャーナリストの船瀬俊介さんによれば、餓死は、栄養が行き渡らずに死ぬというより、脳がパニックを起こすことで起こるほうが多いと見ている。

「 遭難して、餓死した……という悲劇の報告もあります。それは『空腹感』=『恐怖感』という洗脳されたメカニズムで、パニックで身体中に猛毒アドレナリンが巡って苦悶死したのです。だから正確に言えば餓死ではなくパニック死です」(『やってみました!1日1食!!』)

頭が冴え、睡眠時間が減り、若返り、寿命が延びる・・・
これだけあるファスティング効果

では、実際にファスティングを取り入れるとどのようなメリットがあるのだろう?

船瀬さんによれば、そのメリットは、あらゆるところに起こるという。

1. 体重が減る

食べないので当たり前のようだが、ほぼ例外なく体重が減る。物理的に軽くなるだけでなく、体感でも軽く感じられるので、サッサと歩けて、動けるそうだ。またファスティングをすると人によるが、ある程度の体重まで下がるとそこから安定するという。なかには体重がどんどん減るので、恐怖を感じてやめてしまう人もいる。減り続けるのはファスティングの段階が浅い場合が多く、より経験を積んでいくと体重は安定してくるという。

2. 頭が冴える

多くの体験者が語るのは頭が冴えるということ。食べないことで脳細胞のデトックスが進んで、頭の回転が早くなったり、記憶力が高まる。これは年齢に関係なく起こります。集中力、記憶力が高まるので、学生時代成績の悪かった人が難関の資格試験に合格したりすることも多くあるようだ。一般に人間は空腹を感じてから3時間くらいが最も頭が冴えると言われている。

3. 集中力が高まる

ファスティングを行うと感覚が研ぎ澄まされてくるので集中力が高まってくる。記憶力が高まるのもそのためだが、アスリートにとってもここ一番の勝負の時に集中力が高まるので、好記録や好成績が出やすくなる。

4. 物忘れが無くなる

年を重ねるとどうしても物忘れが出てくる。「これ」「あれ」といった指示代名詞で会話する率が高くなる。ファスティングを続けると前述したように脳細胞がデトックスされて活性化するので、物忘れ、ど忘れが無くなってくる。

5. 疲れなくなる

そもそも食事を摂ることは体に負荷をかける。よく食事の後は眠くなるのは、消化が体に負担をかけるからだ。とくに動物性のタンパク質は消化に負担が多くかかるため、重い食事を取ると覿面に眠くなる。1日3食食べるとその消化エネルギーは、フルマラソンと同じカロリーを消費する。

また食事を取ると、摂取した栄養素が体のなかで燃焼するので、疲労の原因となる活性酸素が生じる。つまり食べれば食べるほど、人は疲れ、老化が進むのだ。

6. 皮膚が美しくなり、若返る

ファスティングによってデトックス効果が現れるので、体内に溜まっていた毒素が外に排出される。よって皮膚が美しくなり、見た目だけでなく体の中から若返る。

7. 睡眠時間が減る

ファスティングをすると皆、一様に口を揃えるのが、睡眠時間が減ることだ。眠れないのではなく、短時間の睡眠でも十分深い眠りが得られるので、少なくて十分なのだ。体験者によれば、1日2食なら6時間。1食なら3時間で十分となる。寝付きもよくなる。個人差やファスティングのレベルにもよるが、睡眠時間が減るのは確かなようで、これは人生という長い時間を考えると、かなりのメリットになる。

8. 時間の余裕が生まれる

典型的なのは睡眠時間ですが、ファスティングをすると時間の余裕が生まれる。ファスティングには、食事回数を減らしたり、一回の量を減らすなどいろいろなやり方があるが、最もやりやすいのが、食事回数を減らすこと。上述したように1日1食となれば、食事にかかる時間は3分の1に減る。さらに睡眠時間が減り、しかも集中力がついて、頭が冴えるわけなので、人生が楽しくないわけがない。

9. 加齢臭が消える

中年を過ぎると男女ともに加齢臭に悩まされるが、ファスティングを始めるとどんどん加齢臭が減ってくる。これは体内のデトックス効果のせいと言われている。ファスティングを実践する人は肉などの動物食を避けるようになるので、体臭も自然になくなっていくのだ。

10. 寿命が延びる

冒頭述べたように、もともと人間は飢餓状態になると長寿遺伝子と言われる「サーチュイン遺伝子」が活性化することがわかっている。長寿遺伝子はほかの遺伝子が傷つかないように酵素を出して守る役目がある。しかし酵素だけではその役目を果たせない。酵素を助ける物質と結合して初めて役目を果たすが、カロリー過剰状態ではこの機能が発揮されない。長寿遺伝子を活性化させるうえでもファスティングが理にかなっているのだ。

またウィスコンシン大学の実験では、20年間にわたってサルに食べ物を与え続けた結果、腹7分目のサルは、100%のサルに比べて1.6倍長生きしたことがわかった。またコーネル大学が1935年に発表したマウスの実験では、カロリーを60%に制限したマウス群は100%飽食の2倍生きたという結果もある。

なにより生活習慣病のリスクが断然に減る。カロリー過多、食べ過ぎで起こるのが、糖尿病、脳卒中、心臓病、脂質異常症、高血圧、肥満などだ。このほかアレルギー、膠原病、がんのリスクも減ってくる。それだけでも寿命が伸びることが判明している。しかも健康に、だ。

11. お金が貯まる

単純に食費が減るのでお金が貯まっていく。もちろん、高価な食材や食事をすれば、そうとも限らないが、一般的にファスティングを始めてから、お金が貯まるという人は多いようだ。また体型も変わっていかないので、同じ服を長年着続けることができる。当然医療費も減るのでその分のお金も貯まっていく。

12. 精力がつく

ファスティングの効果として、男性のEDや不妊症の改善も注目されている。中年を過ぎると精力の衰えを感じる人はどうしても多くなる。それがファスティングで高まるのは、血流がよくなるからだ。飽食、美食が過ぎると赤血球同士がくっついてしまい、末端の毛細血管まで赤血球が届きにくくなるとされている。毛細血管は血管の93%の割合を占めているが、もっとも細い動脈は男性の陰茎と言われ、従ってファスティングで血液がさらさらになれば、精力もつく、というわけだ。

13. 心が平穏になる

お腹が空くと誰もがイライラする。しかしファスティングを続けるとこの空腹感が幸福感に変わっていく。体がキレるし、頭が冴え、仕事が捗るのだ。そもそもお腹が空くというのが、脳が指令を出しているだけなので、上述したようにたくさん食べなければ死ぬという、危機感に洗脳されているから起こることなのだ。

また内海さんによれば、とくに日本人は「糖質ジャンキー」になっていると言う。ごはんやパスタ、パンなど炭水化物好きな人が多く、さらに甘い物を好む人が多いため、体も脳もダメにしているのだと言う。この糖質のいわば中毒性が、空腹のイライラを起こしていると言える。

ファスティングを極めると、1食も食べずに生活できる・・・
不食を実践する人

ファスティングを極めると、何も食べなくて生きていける不食の状態になる。

「そんなばかな!」と思うかもしれないが、実際に何も食べずに何年も生きている人がいる。

その一人が、弁護士の秋山佳胤さん。弁護士としては珍しい理系出身(東京工業大学卒)の秋山さんは、体力に任せて司法試験の受験勉強をこなしていたが、ある時体調を崩してから体調管理の大切さ、不摂生の影響を実感、気功法を学び始める。それは西洋科学理論とはかけ離れた世界で、どんどん引き込まれていったそう。気力が充実して、空手を始めるようになる。食欲も旺盛で、1日3食しっかり取っていたが、次第に自然治癒力などスピリチュアルな世界にも傾倒し、2006年に不食を実践しているオーストラリア人のジャスムヒーンさんと出会った。世に「ベジタリアン(菜食主義者)」という人がいるが、ジャスムヒーンさんはそれを超えて、呼吸だけで生きている「呼吸主義者」だったのだ。感銘を受けた秋山さんもその年から次第に食事の量を減らしていき、 2年後2008年に完全に不食の生活に入る。

秋山さんはとりあえず、1日1食を目指していたが、いつの間にか完全に食べなくても生活できるようになったという。

1969年生まれの秋山さんは、体力は、若い時代に比べて断然現在のほうがあると言う。100メートルを走ったら10代より今のほうが速いとのこと。空手はやっているが、ふだんからランニングなどで鍛えてはいない。それでも体調はすこぶるよいのだそう。

体力に対する考えも大きく変わりました。「以前は徹夜が得意で、あたかも自分の原動力であるかのような錯覚をしていました。何日も徹夜ができる自分だからこそプロフェッショナルな仕事ができると考えていたのです。しかし、不食になってからそんな思い上がった心は跡形もなく消えました。なぜなら、不食をするとあまり眠らなくてもよいので、そもそも徹夜をするという「努力」が要らなくなったからです。それどころか、無理をしてまで働くことに魅力を感じなくなりました。

いまは忙しい時でさえ、悠々と仕事をしています。なぜなら、その気になればいくらでも時間があるからです。感覚的には、1日が3倍に使えるような感じです。(中略)

たとえば、食事をするとなると、食材を買うこと、料理を作ること、食べること、食休みをすること、使った食器を洗うことまで含めて、かなりの時間を浪費することになる。それが1日3度となると膨大な時間です。それが不食となれば、その時間が丸々ほかのことに使えるのです」(「食べない人たち」<マキノ出版>)

さらに食事を減らすことで、睡眠時間が減っていくことも証言している。また食べることで疲れることも指摘している。

「しかも摂取した栄養素が、体のなかで燃焼すると活性酸素が生じて、体を疲労させ、老化を促進することにもなります。食べれば食べるほど、人は疲れ、老化が進むのです」(「同書」)

不食の最大の利点は、明日の不安がなくなることだ。つまり飢える心配がないので、毎日が楽しい。いまを楽しむこと、いまを生きることを、以前にも増して大切にするようになる。

飢える心配がなくなるので、給料のために会社で嫌な思いをしながら仕事をし続ける必要もなくなり、逆に多少嫌なことがあっても気にしなくなる。

生きていくことに自信が持てるので、いまが充実してくるのでいまを大切にするようになる。

ファスティングの種類はいろいろ、
まずは手軽なところからはじめる

もちろんそこまでにいくには、それなりの努力が必要だ。誰もができるとは思えない。

ではどのようにファスティングに取り組んでいけばいいのか。いくつか挙げてみよう。

■プチ断食(半日断食)
・朝食を抜くだけの断食。明日からでも始められる方法で、一生続けることができる。3食お腹いっぱい食べている人は、ここからはじめる。

■1日1食
・朝を抜いて、昼か夜に一食食べる方法。1日3食の人がこれをやり続けると、一生断食をしているようなものになる。

■3日断食
・丸3日、水と梅干しだけで過ごす断食。梅干しは天然塩で漬けた食品添加物不使用のもの。できれば3年熟成など、熟成が進んだものがオススメ。自宅でもできるが、断食後の復食期にどんなものを食べるべきかなど、やり方は専門家の指導を受けるとよい。

■1週間断食
・丸1週間、食を断つ。正しいやり方を学べば自宅でもできるが、失敗すると反動もあるので、やはり専門家の指導を受けたほうがいい。

■週末断食
・仕事でなかなか断食ができない人は、週末だけで断食するだけでもずいぶん変わる。1回に食べる量を減らして腹7分目で、1日3食食べるか、1日食べない日を設けるか。どちらがいいかと言えば、後者だ。ファスティングの効果を確実にするには、まず空腹感を持つことだ。腹7分目くらいを続けると空腹感が弱くなり、慣れてしまうことがあるからだ。ふだん行うのであれば、朝を抜くようにして、週末に1日断食するというのが効果的だ。

体に取り入れるべきもの

ファスティングは食事の量が減っていくことだ。より食べることを大切にしていかなければならない。3食を2食に、3食を1食にするのであれば、その時何を食べればいいのだろう。

医師の内海さんは、まず解毒作用のある食材を挙げている。現代人の周りには、化学調味料や、農薬にまみれた野菜や果物があふれている。とくに野菜や果物でまったく農薬が使われてないものを探
すのは困難に近い。つまり、知らず知らずに毒が溜まっているのが現代人なのだ。

そこで内海さんは、毒を排出させる食物として次のようなものを挙げている。

■玄米……玄米に含まれるイノシトール、ガンマオリザノールは体内の解毒臓器である肝臓の機能を高めてくれる。放射性物質の解毒にも効果的だと言われている。

■梅干し……梅干しに含まれる天然由来のクエン酸は化学物質や放射性物質の解毒作用が認めれている。天然塩を使った、熟成ものを選ぶ。

■たくあん・ぬか漬け……腸内細菌を高める乳酸菌が豊富な食品。たくあんは天然塩を使った天日干しのもの。ぬか漬けは、無農薬の米ぬかと天然塩を使ったぬか床に、旬の野菜を漬け込んだもの。

■納豆……納豆菌も腸内細菌の働きを高めます。大豆は遺伝子組み換えでないものを選ぶ。

■根菜類・自然薯・らっきょう・ねぎ……自然の硫黄を含んでおり、放射性物質の解毒効果が期待できる。

■香草…しょうが、しそ、にんにく、みょうがなど、香りの強い野菜は総じて解毒作用が強いものが多く、とくにパクチーは脂肪燃焼力も強く、脂肪を入れ替えてくれる。

■はと麦……含まれてるヨクイニンに解毒作用があり、漢方薬としても使われている。

また内海さんは、食べるべきものの基本として、次の3つを挙げている。

1)季節の旬のものを食べる
2)日本の風土にあったもの
3)食べものを丸ごと食べる

つまり、旬の素材を使った和食料理で、よりシンプルな料理が体にいいということになる。

前出の船瀬さんは、このほか、番茶(緑茶)、ごま、海苔、味噌、ヨーグルトを挙げている。とくに番茶とごま、海苔は、「バカ食い」と言うほどよく食べると言っている。

ごまには、老化防止、抗酸化作用、抗癌作用、二日酔い防止、高血圧改善などの効果があるとされ、また海苔は「海の野菜」と言われるほど健康によく、動脈硬化防止、心筋梗塞予防、高血圧改善、肌荒れ防止、胃腸病予防、骨粗鬆症予防、眼病への効果、貧血、イライラ予防、肩こりなどに効果があるとされている。番茶(緑茶)は、がん予防、血糖値正常化、腸内善玉菌の増加、体脂肪の減少、アルツハイマー予防、虫歯・口臭予防、過酸化脂質の抑制などに効果があるとされている。

できるだけ避けるべきもの

逆にできれば食べない、取り過ぎないようにするものは次のようなものだ。

■砂糖…糖分過多の人が多く、中毒性があるとされている。

■肉…食べる場合はできるだけ上質なもの。夏より冬に食べる、緑黄色野菜を多く摂るようにする。

■食品添加物の多い食べ物…まったくないものを探すのは難しいが、とくに化学物質の多く入った化学調味料などは避けたいところ。

■牛乳…骨にいいとされているが、高タンパク、高脂肪なので、骨からカルシウムを奪うことがわかっている。

もちろんまったく食べてはいけない。飲んではいけないということではない。いずれの紹介本も、無理せず、柔軟に取り組むことがファスティングを持続させるコツだと説いている。

あの秋山さんも友人から誘われたり、家族の祝い事などでは、食事をする時があると言っている。友人や恋人が作ってくれた手料理に箸をつけないのは、失礼だろう。タモリさんも収録のあとは、共演者と一緒に蕎麦屋に繰り出すこともあるようだが、そこでは「ここの蕎麦はうまいんだよ」と言いながら、本人はアジの骨の唐揚げを摘まんでは、人の話を楽しそうに聞いているのだそう。

まずは朝をジュース一杯で済ますことから始めてはいかがだろう。きっと数ヵ月で見違える自分に出会うことだろう。

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