消費縮小の今だからこそ – 売れる「売り場づくりの法則」を学ぶ
デフレ基調だった日本がいきなり物価高に見舞われている。市民の財布の紐は堅くなるばかりだ。売り手の知恵は益々求められる。インフレで購買意欲が下がる一方では日本の経済は回らない。消費が縮小している今だからこそ、店側の魅力的な売り場づくりが求められている。日本を成長曲線に乗せるためにも、魅力的な売り場づくりの基本、とりわけディスプレイや陳列の基礎を学んでおきたいところだ。
目次
コンビニではなぜ窓際に雑誌コーナーを設置しているのか
小売店舗において、外観や売り場のディスプレイの影響は大きい。まず外から見て目立ち、分かりやすく、「吸引力」のある外観やディスプレイ、陳列にすることが繁盛店の原則である。
たとえば、もはや常識となったコンビニの雑誌の陳列。どのコンビニチェーンでも雑誌は通りに接した窓側に陳列されている。これは、雑誌の購買を検討する人、あるいは単に立ち読みをする人が窓際に並んで立つことで、外から店を見た人が、中が賑わっているように見せるためだ。
この手法はファミリーレストランなどでも使われている。空いた時間帯に入ると、店員に窓際の席を案内された経験があるかと思うが、これは眺めのいい席に案内するとお客様の満足度が上がるという顧客満足の論理が働いていることに加え、窓際の席を埋めることで、外から店を見た時に「賑わっている」「繁盛している」感を演出できる計算があるからだ。
お客様の心理としては人の少ない閑散とした店より、お客様の多い繁盛していそうな店に惹かれる。
以前大手ハンバーガーチェーンで、店側、企業側から頼まれて店頭で行列をつくるいわゆる「サクラ」と呼ばれる人たちの存在が問題視された。これも「行列のできる店」=「繁盛店」「人気店」の心理効果を狙った方法だ。SNSの発達した今は、こうしたサクラより、ユーザーや来店者の書き込み対策に力を入れているようで、店舗の評価サイトで高評価をつけるビジネスもある。こうした不当評価対策として運営会社は評価を下すアルゴリズムの改変を行ったりしているようだが、急な評価の変更に店側が不満を訴えるなど、的確な正解を導き出すのは難しいようだ。いずれにしてもお客様側の警戒心がどんどん高まっている時代と言えそうだ。
だからこそ、1度訪れたお客様をリピーターにする魅力的な売り場体験が必要となってくる。お客様が店に魅力を感じてリピーターになるのは、店員とのコミュニケーション体験が一番だが、一般的に日本人は積極的に店員と店で会話をしない。そのため商品とディスプレイ、あるいは外観などをいかに魅力的に構成するかが問われる。
お客様を惹きつける小売店舗の陳列やディスプレイは、入店後のお客様の行動を主導し、レジでの支払い額を左右する。その理論や手法は深まっており、陳列やディスプレイの専門家も増えている。
売り場に求められる
6つの魅力
具体的にはどのように売り場を魅力化すればいいのだろうか。
小売の販売管理や売り場改革、商品改革などに長年かかわってきた「㈱マインド」の代表取締役の福田ひろひでさんは、現在の小売りの売り場に求められる魅力として次の6つを挙げる。
① 吸引力があること
イメージが良い、ストアロイヤリティ(その店の信頼性や満足度) が高いこと。
② 楽しさがあること
売り場に行くたびに発見があったり、イベントがあったりと、知る楽しさ、見る楽しさ、体感する楽しさがあること。
③ 一貫性があること
マークや色、全体のトーンなどによって一貫性のある印象をもたせること。もちろんこれは売り場の外観やインテリア、そして陳列はもちろん、売り場のスタッフの服装や、対応行動も含まれる。
④ 話題性があること
ふだんから認知度が高く、常にトレンドなどを情報発信していること。
⑤ 変化があること
時代や季節によって商品に変化があること。よく「時代に応じた変化」というが、それを売り場にも反映するということだ。こういう話をすると、信用のある老舗名店は、そういった変化をしていかない、昔から変わらないことが望ましいのだいう声も聞こえてくる。だがたとえば、600年の歴史を持つ老舗の代名詞とも言われる和菓子の「虎屋」は、老舗の真髄を「日々の革新」と捉えている。同じように見えていても着実に進化・変化をしているからこそ、老舗として存在しているということを忘れてはいけない。
⑥ ステイタスがあること
その店にブランド力、信用力、歴史があること。これはまさに5つ目で紹介した虎屋の例がその代表だろう。
売り場づくりの
基本を押さえる
こうした魅力のポイントを理解した上で、具体的に魅力的な売り場をつくっていくわけだが、その前に店が押さえておくべき基本を知る必要がある。専門家によって挙げる項目は分かれてくるので、以下のことは意識しておく必要がある。
1つ目は、「清潔感」だ。ホコリや汚れが目立つ店や、商品が雑然と置いてあり、通路が歩きづらい店はそれだけで長居はしたくなくなる。
2つ目は、「明るさ」。間接照明など意図的に使っている場合は別だが、単純に暗い店は、商品の見栄えも悪く、活気があるように見えない。とくに店内の奥が暗い店は、なかなか奥に進む気を起こさない。動線設計の点からも気をつけるべきだ。
3つ目は、「グルーピング」。同一の商品や関連性の高い商品、価格帯が近い商品などを1つの価値軸やコンセプトに沿ってまとめていくと、商品群の存在を大きく見せる演出になり、お客様にとって見やすく、わかりやすくなり、ショッピングのストレスが減る。まとめ方としては、たとえば同じ商品を陳列する場合は、隙間でバランスを取ることだ。隙間なく置くと息苦しくなる。まとまりのある展示をする場合は、最低でも周囲に1cm以上の空きをつくるようにする。
4つ目は、「フェイス」。フェイスとは商品のパッケージ部分を指す。名前や特徴など、最も商品の魅力を訴求できるパッケージデザインのフェイスを揃えることで、売り場全体がスッキリし、お客様も選びやすくなる。フェイスを揃えることを「フェイシング」と呼ぶが、フェイシングでは売れ筋商品のフェイスを多く並べることが基本。ただ大量に並べるのではなく、他の商品との隙間をつくってお客様にわかりやすく見せるのもフェイシングのコツだ。
5つ目は、「色バランス」。とくにファッションや日用品などでは色味が売り場の印象を決めるので、色のバランスを考えて商品を陳列する。グルーピングにもつながるが、同じ商品や関連性の高い商品は同じトーンのキーカラーでまとめたり(パステルカラーや暖色系、寒色系など)、グラデーションなどを取り入れ、視覚的な美しさを訴求する。グラデーションを取り入れるほどの色数がない場合、あるいは商品を互いに際立たせるときは、コントラスト効果を使う。「白と黒」「赤と白」「明と暗」「寒色と暖色」「濃と淡」、あるいは青と橙など「補色関係の色」で構成すると、メリハリのある印象を与える。
6つ目は、「動線」。動線は店側からすれば売れ筋、買ってほしい商品に誘導する道であり、商品をくまなく見てもらうための道でもある。そのためには、店の奥までしっかり誘導できる動線を引くことが大事だ。
この動線設計で重要になるのが、お客様の視線と視界だ。
こんな経験はないだろうか。街を歩いていたときにふと目にとまった店頭のディスプレイ。近寄ってしばらく見入ってから、入口を覗く。すると入ったすぐ先に平置きの商品テーブルのディスプレイが……。さらにその奥に視線を上げると、大きな壁に吊るされた有名人Aが使っている商品が3セット。思わず引き込まれて中に入ってみると左右のところどころに、見たことがあるような商品と、季節感漂う商品がいくつか目に入ってくる…… 気がつくと中に誘導されてしまっている。こうした誘導はお客様の視線と視界が的確に考慮されてこそ実現する。
常に視界の先に、その先を知りたくなる誘導ポイントを設置することが大事だ。
売り場を構成する
「見せ場」「探し場」「買い場」
実は、売り場は「見せ場」「探し場」「買い場」の3つのゾーンで構成されている。
お客様の注意と関心を惹く場が「見せ場」で、関心から欲望を抱き、確認するまでが「探し場」、そして確認から購買までが「買い場」だ。この3つのゾーンを意識して、売り場をつくりあげていくことがポイントだ。逆にこの3つの「場」を知らずに売り場をつくっているとすれば、大きな販売機会を損失している可能性がある。
この3つのゾーンは、次のようなコンセプトで構成される。
① 提案・メッセージを訴求する=見せ場
② 代表的な商品を見せる=探し場
③ 代表的な商品のサイズや色などのバリエーションを選ぶ=買い場
基本的に「見せ場」は店頭の陳列やショーウィンドー、メインステージなどでつくられ、「探し場」は売り場の壁面上部、ラックの最上段部や側面、テーブルといった什器類の上部や側面などで展開される。そして「買い場」は、ハンガーラックやケース、テーブルなどで展開される。
お客様が購買に至るまでの
行動パターン「AIDCA」とは
一方、店にやってきたお客様が購買するまでの行動パターンは
「AIDCA」の理論で説明される。
A はAttention= 注意喚起、I はInterest= 関心、D は Desire= 欲望、C はConfirmation= 確認、Aは Action=購買行動を意味する。このお客様の心理変化に即した陳列、ディスプレイの誘導を考えることがポイントとなってくる。
すなわち店舗内の商品のなかで訴求商品が目につくように注意を喚起し、注意を喚起した商品に関心を持ってもらうのだ。関心を持ってもらうためには、商品のフェイスを揃えたり、代表的なコーディネートを見せることも重要になる。次に買いたいという欲望を抱いてもらえるよう、個々のお客様にあったバリエーションを取り揃えていることが分かるように陳列を行う。
そこでもし買いたいという欲望を抱いたお客様は、商品を手に取って確認するはずだ。よってこの場合、比較検討がしやすい関連商品の棚が必要になる。そして商品を比較検討し、確認して納得したお客様は、購入を決断することになる。よってお客様が決断した後、スピーディに購入できる体制をとることも重要になってくる。
陳列・ディスプレイに
欠かせない「テーマ」
売り場づくりは前述した3つのゾーンを意識し、「AIDCA」の理論をベースに展開すると全体像が見えやすくなる。ただこれら基本的な理論を身につけたとしても、お客様を「顧客」にし、「リピーター」にしていくためにはもう1つ大事な要素がある。それはテーマ性だ。
テーマは売り手が勝手に思いつきや感覚で決めるのではなく、売る商品の訴求ポイントを把握し、分かりやすく発信することだ。テーマのない売り場は主張がなく、訴求力に欠ける。
テーマ設定はどのように行えばいいのか。前述の福田さんは次の4つで選別し、展開していくことを勧めている。
1.「 主力訴求商品」によるテーマ設定
2.「 ライフスタイル」によるテーマ設定
3.「 季節訴求」によるテーマ設定
4.「 こだわり提案」によるテーマ設定
1. の主力商品は、その店が最も売りたいと思っている市場性の高い商品のことだ。これには新商品や、在庫処分品、季節主力商品、イベント主力商品などがある。
2. のライフスタイルは、文字通りお客様のライフスタイルや生き方の哲学のようなものだ。これを年齢別、テイスト別、スタイル別、センス別に切り分け、テーマ設定をしていく。ふつう小売りではなんとなく年齢別までは対応しているが、テイストやスタイル、センスによって切り分けることはなかなか難しく、専門的なアドバイザーを雇っていることも多い。
そういった人員を増やせない、頼めないという場合は、スタイルやトレンドを取り上げている専門誌やファッション誌などを参考にすると良いだろう。
ある有名パティシエは、新しいコンセプトのお菓子を作る際に参考にするのは、お菓子業界の本ではなく、女性向けのファッション誌だと語っていた。モノを売るということに関わる人は、分野は違えど街中のファッションやトレンドに気を配る必要があるのだ。それはたとえ老舗であっても、だ。
3. の季節は、多くの小売店でテーマ設定をしている。季節の変わり目や年中行事を頭に入れて、年間スケジュールを組んでいるだろう。ただし、杓子定規にやり過ぎると消費者の反応を見過ごすことにもなる。暦の上で夏だからといっても、気温があまり上がらない冷夏では、真夏の商品を陳列しても売上は伸びないだろう。
日本にコンビニを定着させたセブン&アイホールディングスの鈴木敏文会長は、季節と温度の関係に注目し、暦の上で夏でも冷夏とみるや店頭で「おでん」を売った逸話は有名だ。鈴木さんはこの逸話のインタビューで「分母」の違いに着目することを説いている。同じ10 度差でも分母を1週間ととれば暑さ寒さはそれほど感じないが、8度差でも分母を1日にすれば寒暖差を強く感じるものだ。
4. のこだわりは、独自のオリジナル商品やブランド、キャンペーンやイベント展開だ。こだわりを明確に打ち出すことは、他の店との差別化の重要な要素であり、ブランドの源泉となる。
店の前で店員が作業している
とお客様は入店しやすい
こうしたテーマ設定は店の外にもはっきり発信しなければならない。売り場がいくら魅力的でも外を通るお客様が素通りしていくようでは意味がない。お客様に買い物をしてもらうためには、まず「立ち止まらせること」。そして「店内に誘導」し、「回遊させる」ことにかかっている。立ち止まってくれる人が少ないことは、その店の存在に気付いていないと考えていい。その場合は、外のディスプレイを魅力的に変えてみる、店頭でイベントを行う、主力商品・季節商品を外に陳列するなどの手が考えられる。
立ち止まってくれるが入店者が少ない場合は、その誘導方法を変える必要がある。出入り口が狭かったり、中を覗いた時に、魅力的な商品が見えなかったりする場合は、要注意だ。またデパートや複合施設の場合は、これらのほかにスタッフの対応などが入りやすさの決め手ともなる。
店舗スタッフについては意外な法則がある。『マンガでわかる良い店悪い店の法則』によれば、各店舗のスタッフが前向きで立っているより、お客様に尻を向けて何か作業をしているほうが、店に寄ってきやすいというのだ。またお客様が店頭で商品を見ているような時に何気に店員が話しかけようとすると、すっと離れていく傾向があるが、別のお客様が店員と会話しているとお客様がまた近寄ってくるという。
思い当たるフシがあるのではないだろうか。とくに高級店や、デパートなどの各ショップの店頭でスタッフがずらり正面を向いて並んでいたりすると気後れしてしまいがちだ。だがほかのお客様が店員と話している時は、当面は話しかけられないので安心してじっくり商品を見られそうな気がするものだ。
売れ筋は「ゴールデンライン」から生まれる
ディスプレイを考える際にぜひ押さえておきたいルールが「ゴールデンライン」である。ゴールデンラインとは、お客様が最も見やすい、手に取りやすいゾーンにある陳列スペースのこと。概ね床上85センチから135センチで、売上のほとんどがこのゴールデンラインから生まれるとされる。
ゴールデンラインを有効に使うためには、売りたい商品、売れ筋を陳列ラインのどこに並べるかも重要となる。同じ高さに並んだ商品の場合、最も売れる位置は中央部で、売りたい商品があればゴールデンラインの中央部に陳列すると効果的だ。
逆に余り売れない商品でもこうしたゴールデンラインの中央部近くの「好立地」に置けば売上がアップするが、ただ中央部に置いただけでは効果は低い。ポイントは人気商品で「挟む」ことだ。人気商品、売れ筋商品のそばに置くだけでは、人気商品だけが際立ち、逆に売れない商品との差が際立って、「売れない」どころか「見えない商品」になってしまうからだ。
さらにゴールデンラインを効果的に使うためには、情報を加えることも有効だ。代表的なのが手書きなどの「POP」である。POPは、お客様にとっては店側の思いや商品の内容や効果などの情報を得る手がかりとなり、また店舗内では遠目からも目立つので「案内板」の役割を果たす。
陳列の4つの基本のポイントを押さえる
問題はどう「陳列する」かである。基本となるのが「置く」陳列だ。基本は次の4つだ。
1.ジャンブル陳列
バスケットやワゴンなどに無造作に商品を投げ込んだような陳列のこと。使う場合は、①商品フェイスは必ず見せる ②ボリューム感、迫力が伝わる陳列状態にする ③陳列器具は統一のものを使用する ④POPをつける ⑤ひとつの器具にひとつのアイテムを陳列する(複数の種類の商品をまぜない)
2.突き出し陳列
通路に箱などの什器を使用し敢えて突き出した陳列。目立つ反面、通行の邪魔になるので多用はしないこと。使う場合は、①高さは背面什器と同等、もしくは低くする ②客動線と通路に注意する ③最低陳列量を決めて商品ボリュームに気をつける ④POPをつける
3.積み上げ陳列
商品を積み上げる基本的な陳列方法。使う場合は、①フェイスを揃える ②安定感を確認する ③陳列数を確認する
4.トレー陳列
商品陳列の基本的な陳列方法。使う場合は、①整然と陳列する ②トレーのスペースと商品陳列のバランスに注意する ③フェイスを正面に向ける
陳列の代表的な「型」を知る
陳列の「型」も大切だ。代表的な型は次のようなものがある。
1. トライアングル型
最も基本とされる型で、センターに背の高い商品、サイドに背の低い商品を陳列することで三角形(トライアングル)の形にする。安定感があり、目を惹く。エンドやコーナーなどでも作れるので、汎用性が高い。
2.シンメトリー型
中心線を決めて左右対称にする型。安定感があり落ち着いた感じを出す時に使う。必ずしも同じ商品でなくても、同じサイズであれば成立する型で、位置を揃えれば十分なのでトライアングルに比べ、手軽にできるのも特長。
3.アシンメトリー型
中心線から対象ではなく、敢えて中心線をずらして配置する型。商品の斬新さや個性を引き立てる際に使う。
4.リピテーション型
同じ種類の商品を同じ間隔や同じ向き、同じ角度で陳列する型。これは単品では目立ちにくい商品などを陳列する時に効果がある。雁行やV字、ひし形などいくつかパターンがあり、またその型によって入り口から奥に向けての誘導効果も期待できる。
5.放射型
中心部から外に向けた型。広がりがあり、動的でインパクトがある。売り場全体のポイント的に使うと効果的。
6.リズム型
1つのパターン、ユニットを繰り返す型。同じ商品のサイズ違い3つをユニットとして、価格帯やデザイン違いで陳列したり、メーカーが違うサイズ違いの4商品を1ユニットにして陳列することで、曲線的でリズミカルな印象を与える。女性的でエレガントな商品、優しさのある商品、コミカルな印象の商品など展開に効果的だ。
7.大量型
商品を圧倒的な量で陳列する方法。一般にお客様の心理として、「商品が少ない店ではお客様は冷静だが、商品が山積みされている店では興奮する」という。大量陳列することで、お客様が「これはお買い得です」と解釈するからだ。
典型的なのは「圧縮陳列」で業績を伸ばした「ドン・キホーテ」。通路を余り広げずに商品との距離を縮めた店内はまるでジャングル。否が応でも山積み感を体感する。またコーヒーなどをはじめとした食品雑貨のセレクトショップ「カルディ」も商品を山積みにする陳列でお客様を引き寄せている。巨大スーパーの「コストコ」も圧倒的物量でお客様を興奮させている。
陳列方法はもちろん扱う商品や量、大きさによっても違ってくる。たとえば商品数の多いドラッグストアの場合は、視界が狭くなるため、目につくポイントを店内にちりばめておく必要がある。ファッション専門店などの場合は、売り場が見渡せるつくりが多いが、その場合は店の奥に視線を集めるような工夫を施すといい。
この売場・ディスプレイの法則はWEBサイトにも応用できる。クリックした先に、その先を覗きたくなるような仕掛けがあれば、自ずとその先に視聴者は進んでいく。
買い物の8割は衝動買い
一般に買い物の8割は衝動買いと言われる。うち1〜2割は、まったく買おうと思っていない物だと言われている。その点からも店の陳列方法、ディスプレイが果たす役割は非常に大きい。
インフレが進む中、なかなか消費者の財布の紐は堅いが、消費が進むことは経済を回すことになり、所得アップにつながる。
ぜひこの売り場づくり、陳列・ディスプレイの法則を活用し、商品の魅力をさらに引き出してもらいたいものだ。